自分が将来入るであろうお墓は、少子化が進む中、自分の実家の両親が眠る(あるいは今後眠る)お墓か、配偶者の先祖代々の墓という人がほとんどでしょう。ただ核家族化していて、現在生活をしている場所から遠くにある実家のお墓に入るのは、残された家族などにとっては不便で、亡くなった本人以外は縁もゆかりもない土地というケースも珍しくありません。
そうしたことから、すでに両親が亡くなったあと、遠くにある実家のお墓を墓じまいをして、現在の生活圏に近い場所で新たにお墓を建てる改葬が流行っているようです。
厚生労働省 衛生行政報告例 改葬件数推移

ここでの改葬数は必ずしも墓じまいの件数ではありませんが、いずれにしても改葬数は1999年が67,270件だったのが、25年後の2024年は167,452件と約2.5倍に増えています。その傾向はまだしばらく続きそうです。
すでに自分が入る(埋葬される)お墓が決まっている人以外は、後に残された家族のために、自分でお墓を建てるか、合同墓地や散骨などを予約、契約しておくことが死後の遺族の混乱や無駄な大きな出費を防ぐことになります。
最近は、遺骨を受け取らず(持ち帰らず)、火葬場から業者に引き渡し散骨してもらうなどゼロ葬を提案する人もいますが、現状ではやはり家族の遺骨は持ち帰ることが一般的です。
いずれにしても自分の死後はどうして欲しいか事前に決めて、家族や関係者に伝えておくのが死にゆく者のマナーとも言えます。若いときには考えないことですが、還暦も過ぎて残りが見えてくると考えざるを得ません。
昔からの慣習では、長男が先祖代々のお墓を継ぐことになるので、長男以外の兄弟は分家として別にお墓を建てるなどなんらかの方法を考えておく必要があります。独身者を除くその他の姉妹は嫁ぎ先のお墓に入るのが一般的です。
最近増えてきているひとりっ子同士の夫婦の場合、どちらかの実家のお墓を継げる親戚もいないと、墓じまいをするかどうかのジレンマに陥ることもありそうです。
実家のお墓に長男以外の親族とその家族も受け入れることもあるでしょうけど、それは事前に費用の負担や何等親まで受け入れるなど長男と取り決めをしておかないと、親戚が多いと誰が入れて誰は入れない、維持費や修繕費の負担など様々な不公平が生じて後々遺恨を残すことにもなります。
それによほど大きなお墓でない限り、カロート(納骨室)に納骨できる骨壺は一般的に6〜10個程度です。
もしお墓の納骨室に新しい骨壺を収めるスペースがなくなれば、「古い遺骨を土に還す」「粉骨して小さくする」「永代供養へ移す(改葬)」の3つが一般的です。いずれにしても長男家族以外の納骨もするというのは面倒で問題が多いのです。
それはさておき、すでにお墓がある長男以外は、私を含め、新たなお墓を準備しておくというのが一番問題が起きない方法で、生活拠点が実家と遠く離れている場合はなおさらです。
私の実家の墓は関西にあり、長男が継いでいます。次男の私はずっと長く関東に居住しているので、お墓はこちら(関東)に建てたいと前から思っていました。
そこで自宅の近くにある大きな公営霊園が料金が安く、歩いて行ける距離にあり、ここにお墓が建てられたら最高だなと10年ぐらい前から考えていました。
下表は、自宅近くの大規模な民間霊園と公営霊園との費用の比較です。
| 川崎市郊外有名民間墓地と市営墓地の費用比較 | |||
| 永代利用料(墓地使用料) | 墓石工事 | 墓地管理料(年額) | |
| 民間1平米墓地 | 1,800,000円 | 1,430,000円〜 | 6,600円 |
| 公営1平米墓地 | 250,000円 | 500,000円〜 | 710円 |
| 民間4平米墓地 | 4,800,000円 | 2,398,000円〜 | 9,240円 |
| 公営4平米墓地 | 1,000,000円 | 1,200,000円〜 | 2,840円 |
なんと言っても公営霊園は安い上に、民間霊園のように倒産や閉鎖、事業売却などの心配がなく安心です。
ただ公営霊園は人気が高く、年1回だけ募集と抽選がおこなわれ、しかも競争率は半端なく高いので、ダメ元で6〜7年ぐらい前から、当たらないのは覚悟の上でなんとなく申し込みを続けてきました。
安くて便利な場所だけに、申込者は多く、しかも抽選では、「すでに納骨する遺骨がある人」や「70歳以上の申込者」に当選しやすい優先枠が設定されています。
例えば、2024年の一番人気の4平米の墓地の抽選では、「遺骨あり」の人は年齢に限らず、1.00〜3.48倍(過去に落選した回数により当選確率が変わる)、「遺骨なし」の場合、「70歳以上」は22.90倍、「70歳未満」は66倍という抽選倍率です。つまりすでに納骨待ちの遺骨がある人以外はほぼ当たりません。
この公営霊園の2024年の抽選では、申込者数1,965人に対し当選者数は440人で、平均当選倍率は4.47倍となっていました。
しかしこの倍率には、遺骨ありや70歳以上の優先枠のある人を含み、さらに最近増えてきている新設で供給量が多く比較的当選しやすい1平米の墓地の募集が含まれています。
1平米の墓地は民間霊園では割と多いのですが、昔からある広い公営霊園では4平米や6平米の墓地が主流でした。需要が急増してきて最近は1平米墓地を新たに増やしています。
私の場合、まだすぐにお墓が必要という状態ではないので、当選しやすい1平米(それでも70歳未満、遺骨なしの場合、競争率は21.5倍でした)ではなく、あえてほぼ当たらない人気の4平米の墓地を申し込んでいました。
すると、、、なんと、当たってしまいました。
「70歳未満」で、「遺骨なし」の場合、4平米の墓地の募集はわずか2箇所(4平米の墓地はこの霊園の中に約12,000箇所あります)だけで、申込者は132人、当選倍率はすべてのお墓の中でもっとも高い66倍です。
まさか当たるとは思っていなかったので慌てました。
というのも、当選すれば、3ヶ月以内に100万円の永代墓地使用料(最初に1回のみ支払)と初年度の墓地管理料(毎年)2,840円を支払い、2年以内に遺骨がなくてもお墓を建てる必要があります。
ちなみに著名人に人気の都立青山霊園の永代使用料は1平米で270万円以上、首都圏郊外の民間霊園だと2平米でも320万円ぐらいと高額ですから、4平米で100万円の永代使用料は公営とは言え破格の安さです。
ちなみに1平米、4平米、6平米のお墓がどんな感じなのか写真を参考までに載せておきます。
1平米

4平米

6平米

また使用料以外に必要な、4平米の墓地管理料2,840円(年間)も、近くの民間霊園だと4平米で年1万円は超えるので、私の死後、残された家族が毎年支払うことになるので、負担が少なく済みます。
そして4平米のお墓を建てる場合、石材や細工によりますが、外国産の輸入石材利用の標準的なもので、工事費など含め120万円〜200万円ほどが必要です。
国産の高級石材やユニークなデザインの墓石だと300万円を超えるものも珍しくありません。しかも昨今の人件費高騰と物価高で墓石も上昇しています。
民間霊園の場合、墓石を建てる石材店と霊園側が結託していて、指定業者制となっているケースがほとんどです。価格は競争がないので5割(1.5倍)ほど割高(一部が霊園側に環流されているはず)のケースが多いです。
上記のように民間霊園の利用と比べて割安ながら、それでも使用料の100万円+墓石(工事費含む)150万円=250万円のまとまった金額をすぐに準備しなくてはいけません。
年金生活者で、まさか当たるとは思っていなかったので、この突然の250万円の出費には慌てました。軽自動車はもちろん、小型乗用車なら十分新車が買える金額です。
そういうことから、「当選した墓地の場所が不便な場所ならキャンセルしよう」と考えました。
というのは、丘陵を開発して作られた広大な霊園(一般墓所が25,000区画)で、広さは東京ドームの11倍もあり、その中で当選した墓地の場所が坂を登った山の上のほうだったり、谷底だったり、自宅から徒歩で行くのに厳しい場所だったりするとキャンセルするつもりで墓地の位置を確認することにしました。
確認しました、、、
自宅からゆっくり歩いても徒歩20分くらいで、広い霊園の中でも自宅からもっとも近い場所で、駅近、平坦な場所で日当たりも良く、墓の前までクルマでも入れるという願ってもない良い場所で愕然としました。
これはさすがにキャンセルはできないと思い、老後資金のためすでに20年以上の長期保有で持っていた株式を売ってなんとか費用を捻出しました。
考えてみれば、自宅のリフォームや古くなった家電の交換以外、他に大きな出費の予定はなく、あとは死後のお墓だけだったので、年金以外の老後資金の約1/3をお墓に突っ込んでもいいかという割り切りもありました。
住民票などをとり利用許可申請の資格確認手続きをおこない、墓地使用料と初年度の管理費を振り込んで、様々な墓地使用における規定などを教わりました。
公営霊園ですので、民間霊園とは違い、宗教の違いや墓石業者の選定などに制限はなく自由ですが、墓石のサイズに制限があり、ペットの遺骨を一緒に納骨するのはダメ(納骨時にいちいちチェックされるわけではないのでコソッとするにはできそうですが)とか、いくつかの制限はあります。
実際、霊園を歩いて墓を見ていると、昭和時代に建墓したものは9割が仏教系ですが、平成時代以降の比較的新しいお墓は2〜3割は無宗教らしきものなど、仏教系以外のお墓が建っています。お墓の形状や色なども様々あります。令和時代にはさらに無宗教っぽいお墓が増えるでしょう。


そして、次は、墓石の石材業者を決めて、2年以内に墓石を建てる必要があります。それは次回で。
◇終活で建墓した その2(墓地施工業者の選び方と交渉の仕方)
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