2024年04月13日

よく盗まれるクルマ、車種と地域を20年前と比べてみる



今回はちょっと趣向を変えて、自動車盗難について統計データを元にあらためて考えてみたいと思います。

自動車の盗難はネットが普及し、SNSで「盗まれた!」という投稿がシェアされ拡散されることが多くなり、感覚的には「増えているのかな?」と思っていましたが、実は最近は大きくその数は減っています。

警察庁のデータで、2003年から2023年までの20年間の車両盗難認知件数(≒発生数)と検挙数、検挙率の推移グラフです。盗難が発生しても、警察への届けがなかったり、発生したことを知らないという発生件数は不明です。

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2023年の自動車盗難の認知件数は5,762件(1日平均15.7件)で、ピークだった2003年の64,223件から1割以下(約9%)に減っています。2023年の交通事故死亡者は2678人なので、死亡事故の倍以上の自動車盗難が起きていることになります。

自動車窃盗の検挙率は2023年は42.7%という低さで、クルマを盗まれると半分以上は犯人は見つからないということです(乗り捨てられた車両は戻ってくる場合があると思われます)。日本の警察の捜査能力の低下が甚だしく、警察が探して見つけてくれるってことはまずなさそうです。

ランドクルーザーさてどんなクルマがよく盗まれるか?ですが、有名なのはトヨタのランドクルーザーやハイエース、クラウンというのが過去からの定番です。

リレーアタックでの盗難に注意!三原じゅん子氏の被害車も盗難件数ワースト1位の“ランクル”だった(スポニチアネックス)

ランドクルーザーやハイエースは海外でも人気車種なので、盗んだ後各地にあるヤードに持ち込みバラバラに分解して外国へ輸出するため国際犯罪組織のターゲットになるのはわかりますが、クラウンは国内専用車なので、それはなさそうです。

盗んだ後どうやって売りさばくのでしょうかね?事故などで廃車になった同種のクルマから車体番号を切り取って、それに付け替えるという話を以前聞いたことはあります。

 ◇  ◇  ◇

さて本題の車種別(車名別)の盗難車のデータは、一般社団法人日本損害保険協会(自動車盗難事故実態調査)と、警察庁(自動車盗難等の発生状況等について)の2種類があります。日本損害保険協会のデータは任意保険に加入していて支払が発生した場合の限定的なデータです。

まずは一般社団法人日本損害保険協会の自動車盗難事故実態調査から、車両盗難トップ10を2003年、2013年、2023年の10年ごとに比べてみます。

車種別車両盗難トップ10(輸入車はメーカー名)
車両盗難トップ10(日本損害保険協会)
2003年11月 2013年11月 2023年1年間
1 ランドクルーザー  ハイエース ランドクルーザー 
2 クラウン プリウス アルファード
3 ハイエース ランドクルーザー  プリウス
4 セルシオ セルシオ レクサスLX
5 マークII クラウン ハイエース
6 スカイライン マークX クラウン
7 セドリック インプレッサ ヴェルファイア
8 RAV4 エルフ レクサスRX
9 アリスト インテグラ ハリアー
10 メルセデスベンツ ハリアー メルセデスベンツ

2023年の全体の車両本体盗難(保険支払)発生件数は2,597件あり、車名別車両本体盗難(保険支払)の1位はランドクルーザーで383件(14.7%)、2位はアルファード364件(14.0%)、3位はプリウス307件(11.8%)です。アルファードはここ10年間で急上昇中です。

施錠を忘れていたり、窓を割ったり、ドアを解錠して室内の荷物やカーナビなど装備品、外装のタイヤホイールなどを盗む車両荒しに遭ったデータもあり、2003年、2013年、2023年の10年ごとの車種別トップ10の推移を載せておきます。

車種別車両あらしトップ10(輸入車はメーカー名)
車両あらしトップ10(日本損害保険協会)
2003年11月 2013年11月 2023年1年間
1 ワゴンR プリウス プリウス
2 ムーブ ハイエース アルファード
3 クラウン クラウン BMW
4 セルシオ アルファード     メルセデスベンツ  
5 オデッセイ ヴォクシー ランドクルーザー
6 ライフ タント ハイエース
7 ステップワゴン カローラ エブリイ
8 メルセデスベンツ  ノア レクサスLX
9 マークII エスティマ ハリアー
10 カローラ ワゴンR ヴォクシー

車上荒らしも車両盗難と同じくランドクルーザーやアルファード、プリウスが人気ですが、BMWやメルセデスベンツの輸入車、ホンダエブリィなど軽自動車が入ってくるのがちょっと意外な感じです。軽自動車にはそれほど高価な装備品や外装品はあるようには思えませんが、その代わり保管状況やセキュリティに甘いのでしょう。

次に車両盗難の多い地域(都道府県)トップ10の推移を5年ごとに2008年、2013年、2018年と2023年を比較した表です。ただ、元データが2008年、2013年、2018年は11月の1ヶ月間だけのデータで、2023年だけは1年間のデータとなっています。

車両盗難多発地域トップ10
車両盗難多発地域トップ10(日本損害保険協会)
 2008年11月  2013年11月  2018年11月  2023年1年間
1 大阪府 大阪府 大阪府 愛知県
2 愛知県 愛知県 茨城県 千葉県
3 兵庫県 京都府 愛知県 大阪府
4 千葉県 千葉県 埼玉県 埼玉県
5 埼玉県 兵庫県 千葉県 神奈川県
6 神奈川県 埼玉県 栃木県 茨城県
7 静岡県 神奈川県 神奈川県 群馬県
8 福岡県 福岡県 岐阜県 岐阜県
9 岐阜県 岐阜県 奈良県 三重県
10 北海道 北海道 兵庫県 栃木県

2023年の都道府県別ではトップが愛知県で411件(15.8%)、2位が千葉県301件(11.6%)です。

毎回大阪府と愛知県がトップを争っているようですが、そこに近年は千葉県や茨城県が割り込んできている勢いです。いずれも郊外に解体するヤードがいっぱいありそうで、地産地消にうってつけです。

今回は調べませんでしたが、地域の人口比や保有台数比率で見ると、大都市の愛知県や大阪府、神奈川県の割合は下がることになり、人口減少が進む地方の盗難の割合が高くなりそうです。

次に2つめのデータの警察庁(全国)の2023年のデータから、2022年と2023年の車両盗難の認知件数を車種別トップ10です。さらに登録台数から1000台あたり何台が被害に遭うかのデータもあります。

車種別自動車盗難発生状況トップ10と盗難台数、千台あたりの盗難台数(2022年、2023年)
車両盗難トップ10(警察庁)
 2023年 千台あたり  2022年 千台あたり
1 アルファード 700 0.9 330 0.4
2 ランドクルーザー 643 2.2 710 2.6
3 プリウス 428 0.2 477 0.2
4 レクサスLX 261 32.7 344 52.7
5 ハイエース 187 0.2 134 0.1
6 キャリイ 115 122
7 ハイゼット 107 95
8 レクサスRX 88 0.8 188 1.8
9 クラウン 81 0.1 139 0.2
10 レクサスLS 71 0.9 67 0.8
10 スカイライン 71 0.4 116 0.6

上記の任意保険の支払発生データとは少し変わっていて、こちらのほうが実態に近いと思います。

車両盗難のトップ5まででは、順位は少し違いますが同じ車種で、6位にはスズキキャリイ、7位にはダイハツハイゼットが入っています。

単なるイメージですが、軽の盗難は、農作業中や配達中、買い物中にエンジンかけっぱなしか鍵を付けたまま置いてたら乗り逃げされたとかっていう感じがします。近所をウォーキング中にもエンジンをかけっぱなしにしたまま配達中でドライバーが不在の軽自動車をよく見かけます。

登録車の千台あたりの盗難発生台数は、台数が比較的少ないレクサスLXが群を抜いていて32.7台が盗まれるという衝撃の結果です。

高級車なのでセキュリティはそれなりに装備されているでしょうけど、車両盗難犯にとっては格好のターゲットになっていて、例のCANインベーダーとかリレーアタックとか盗難方法が確立されているのでしょう。

その他ではやはりランドクルーザーの盗難率も高く、千台のうち2.2台が被害に遭っています。こうした狙われやすいクルマを買うと気が休まらないでしょうね。

そういえば、私も以前盗難車として狙われやすかったランサーエボリューション]を買ったとき、「よく狙われる」と聞いていたことと、人目の少ない暗い屋外駐車場に停めることになるので、納車前になにかあるとリモコンへ知らせてくれる社外セキュリティの取り付けをショップに依頼しました。

駐車場は自宅から少し離れた場所ですが、セキュリティの電波が届く範囲で、さらに部屋の窓を開けると見える場所でした。

ある日の深夜にリモコンが震えだし、外からセキュリティの音が響き渡ったことがあります。すぐに起きて窓をあけて見たところ、暗闇でよく見えなかったものの、誰かが走って行く影が見えました。

どこにも傷はついてなかったので、ドアハンドルをガチャガチャするなどして、その振動をセキュリティが感知したものと思われますが、素人の泥棒で助かりました。盗難やいたずらの予防策として、いつもボディカバーを掛けていましたが、その時は翌朝に使う予定があったのでカバーは掛けていませんでした。

意外かも知れませんが、ボディカバーを掛けておくと、それを外す手間やその時にでる音などからターゲットになりにくいようです。放火などの心配はありますが、そこまで心配しても仕方ないでしょう。どうしてもそれが心配なら割高ですが火のつかない防炎タイプのボディカバーを使えば問題ないでしょう。

あとは、整備工場のようなフリをしてクレーン車で持っていくような盗難のプロにかかるともう盗難防止法はありませんが、それでも多少なりとも抵抗すべく、各種の盗難防止グッズを使うのは気休めにはなります。

昭和時代のクルマなら、ディストリビューターのデスビローターを抜いておくという簡単な防止法がありましたが、今のクルマは電子式で付いていません。またクレーン車で持って行かれるとそれも手に負えません。

それよりも一時期よりは減ったとは言え、これだけ盗難が起きているので、自動車メーカーがもっと有効で安価な盗難防止装置を考案し、装着する義務があるように思います。

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