数万点と言われる自動車を構成する部品の中にあり、重要な保安部品であり、1900年初頭からおよそ100年近くその形状や機能、性能に変化がないのがワイパーです。
エンジン、変速装置、燃料噴射機、タイヤ、フロントガラス、シート、バンパー、ライト、サスペンション、ラジエーターなど様々な部品が高機能、高性能化していきますが、ワイパーについては、基本的にゴムで窓についた雨や雪をこすり落とすだけのものです。
例えば、エンジンは2サイクルから4サイクル化されたり、2バルブから4バルブになり高性能化が図られ大きく進化してきました。変速機もシンクロやATの出現で進化が激しい部品です。燃料噴射機も様々な進化を遂げて現在は電子制御式のほぼ行き着くところまで来たという感じです。
タイヤは一見するとあまり変わっていないようですが、元々馬車や自転車に使われていた車輪から現在のようなゴム(と言っても最近のタイヤはほとんど石油から作られた合成ゴムを使用していますが)に空気を詰めるようになり、バイアスタイヤからラジアルタイヤ、チューブレスタイヤ、ランフラットタイヤなど地味ですが、確実な進化を遂げています。
ライトも以前書いたように光源は現在はハロゲンとHIDですが、いずれLED化されるのでしょうし、フロントガラスも乗員に安全なように強化ガラスや合わせガラスなど進歩してきました。
サスペンションも独自の進化をし、もう4輪独立式が当たり前となり、今後は同じ性能でいかに軽量コンパクトに作るか、または電子制御でどこまで安全快適にアクティブに動かすかというところでしょう。一時期流行った乗用車の4WS(4輪ステア)は結局普及しませんでしたけど。
そしてワイパーですが、最近では雨滴関知式のオート化されたものがありますが、基本構造はゴムへらのついたアームを動かして窓を拭き取るという、元々の原始的なスタイル(昔は電動ではなく手で動かした)から特に変化がありません。
なぜ自動車のワイパーが進化しないのかが不思議なのですが、これに代わる画期的な装置を発明すれば、ノーベル賞ものかも知れません。
ちなみに船にはクルマと同じようなワイパー式と、窓ガラス自体がくるくる回って遠心力で水滴を吹き飛ばすものがありますが、自動車の窓を回転させるのには無理がありそうです。
最新のジェット機も地上走行用には(飛行中は風圧で吹き飛ばす)クルマと似たワイパーが装備されていたりします。
昔、まだドアミラーが解禁される前のある日本車に「世界初!フェンダーミラーワイパー装着!」というとっても魅力あふれる広告が飛び込んできましたが、もちろん好評につきその後も長く続いたという話しは聞かれません。
バカバカしくて世界(もっともフェンダーミラーのような不格好なものは日本以外では使われていなかったのだが)の誰もやらなかったことをこの会社は誇らしげにやってしまったと言うことです。やっちまったなぁ、、、と言う冷たい視線をデザイナーは感じたのでしょうか気になるところです。
以前、と言ってもずっと前の社会人3年生の頃ですが、初めて買った新車のクルマがホンダプレリュード(2代目)で、このクルマのワイパーには驚きました。
ワイパーブレードを支えるアームが一本しかなく、巨大な1枚のワイパーブレードがフロントガラスの上をほぼ180度一気に動いて拭き取っていきます。当時としては珍しく、レーシングカーのようで格好いいと思いました。
シングルワイパー代表のHondaプレリュード1800XX(1983年) 撮影場所:千里浜なぎさドライブウェイ

ところが運転席側の前を早く拭き取る必要があるため、1本しかないワイパーブレードは運転席側のフロントウィンドーから拭き始め、反対側の助手席前で反転をするため一旦停まります。
そのスピードが半端なく速いので、助手席側(ということは一般的に歩行者用の歩道側)で折り返しで停まる瞬間、フロントウィンドー全面からかき集めた水滴を1〜2メートル真横へビュッっと飛ばしてしまいます。
これにはまいりました。歩道にいる歩行者はいきなり横から水をかけられ迷惑千万で、歩道から離れて停まっても信号待ちで左横に停まったクルマに遠慮なく水しぶきを浴びせかけてしまいますので、雨の日はまるで周囲に喧嘩を売って回っているようなものでした。怖いので徐行中や停車するたびに雨が降っていてもワイパーを止めるクセがつきました。
それ以降、特殊なスポーツカー以外では、日本ではこのようなシングルワイパーを付けたクルマが出てこない(ホンダの軽自動車に1件あり)のは、このような問題があったからだと確信していますが(3世代目のプレリュードでは廃止された)、なぜかベンツやシトローエンなど欧州車では時々見かけます。
うまくワイパーのスピードをコントロールして、止まる少し前にワイパーのスピードを落せば水滴が飛ぶのを防げるように思いますが、欧州車がそうなっているのか知りません。
ワイパーブレードですが、カーショップへ行くとブレードの中のゴムだけを売っていますので、それだけを交換するのが一般的です。
消耗品ですので、長く大事に使おうと思うのではなく、1〜2年に1回ぐらいは、まだ使えると思っても新しいものに交換するのがよろしいかと思います。交換は1本あたりものの2〜3分もあれば、できてしまいます(要領さえ知っていれば)。
ワイパーゴムは長さと形状タイプ(角形、キノコ型、台形型)と幅のサイズで違ってきますので、必ず合ったものを選びましょう。車によっては左右のブレードゴムの幅も長さも違っていたり、リアワイパーのサイズも違っています。
万が一の時のために左側のブレードやリアワイパー(ランエボ10にはありません)を一番大事なフロント右側にブレードを移設できるように、またコスト抑制のために部品の共通化をはかってもらいたいものです。
古く固くなったブレードのゴムでフロントガラスをこすり続けると、ガラスに細かな傷が付き、それがひどくなると結局は高く付きかねません。交換用のワイパーゴムは、ガラスコーティング用とかの高級品もありますが、普通のもので十分だと思います。
要は高級品を大事に長く使うより、安物でいいから悪くなる前にどんどん替えていくのがベターです。これってサーキット走行とかをしない普通の使い方をするクルマのエンジンオイル交換と同じ発想です。
あと一時期は誇大広告とも思える「ワイパー不要!」などと宣伝されたこともあるガラスコーティング剤ですが、私は今のクルマからフッ素系のコーティング剤を塗っています。
それまでは30年ほど前からあったシリコン系のコーティング剤を使っていたのですが、ようやくプロ用とか言われていたフッ素タイプがリーズナブルな値段で普及してきたので試しているところです。
フッ素系ガラスコーティングの魅力はなんと言ってもその撥水効果の持続性です。しかし塗布はシリコン系と比べると難しく、失敗すると逆に乱反射して見にくくなったりします。
コツはまだ新車でガラスが真っ新で綺麗な時にやってしまうか、専用のクリーナーや脱脂剤などを使い、ガラスを十分に磨いた上で、塗布することでしょうか。
いずれにしてもゴシゴシとすり込み、拭き取るのに力と根気がいります。なので最近では購入時にディーラーで、ボディのコーティングと一緒にやってもらう人が多いようです。
自分でやれば安上がりで、半年に1回程度上塗りするだけでいい状態をキープができますが、お金で時間と便利さが簡単に買える時代ですから、まぁそれも良しなのでしょう。クルマに愛着を感じる人は、簡単な作業はできるだけ自分で作業しましょう。
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