警察庁統計資料によると、自動車盗難件数の多かった10年前2003年頃から比べるとおよそ件数は1/3に減っているものの、現在でも年間2万台以上の自動車盗難被害が起きています。
1日当たりにするとおよそ58台が毎日盗まれている計算です。それにしても2003年は年間6万4千台、1日平均175台の盗難ってひどかったんですね。

自動車盗難の多くはコンビニや自宅の駐車場などで、キーをつけたままにしておいたすきに盗難に遭うケースがもっと多いのかと思っていましたが、実際はそうではなく盗難件数のおよそ8割がキーをかけた状態で盗難に遭っています。
キーがついたままのクルマを盗むのはアマチュアの仕業で、キーがかかっている状態で、狙ったクルマを盗むのがプロの仕業と言えます。
アマチュアの泥棒対策は、クルマから降りるときは必ずキーを抜くことや、予備キーをバンパーの裏とかわかりそうな場所に置かないなど、そう難しくはありませんが、プロに狙われると、それを阻止するのは困難です。
プロとアマチュアの中間というか荒っぽい手法ですが、犯人がわざと走行中のクルマに軽く追突し、ドライバーが追突されたところを確認するために降りてきたすきを狙い、別の犯人がターゲットのクルマに乗り込み、持ち去ってしまうという方法が紹介されていました。
そうした気が動転した時でも、クルマから降りるときは必ずエンジンを停止してキーを抜くという習慣づけをおこなっていれば対応できます。
プロの犯罪者によく狙われるクルマは、盗んだ後、外国の業者へ高く売れるクルマということで、トヨタのハイエース、ランドクルーザーと言ったところがここ十数年ずっと人気が高く、その次が国内で転売する目的でしょうか、高額なセルシオ(レクサス)やクラウンなどで、さらに次は海外でも人気のトラックでキャンター(三菱)、エルフ(いすゞ)となっています(2012年に500台以上盗難にあった車種)。
いずれにしても盗難に遭いやすいクルマベスト5をトヨタ車が占めているのは不名誉なことでしょう。
盗難率(登録台数1000台の内、盗難にあった台数)を見ると、セルシオ(5.3台)、ランドクルーザー(4.6台)が群を抜き、次にハイエース(1.8台)が続きます。セルシオ(レクサス)やランクルといったトヨタの高級車に乗る場合は、いつもプロに狙われているという意識が必要でしょう。
トヨタ車の場合、質がよくて外国でも人気車種なので盗難後さばきやすく、また走っている台数が多いので狙いやすいということでしょう。
また車種ごとに違う鍵の解錠法や盗難防止装置の解除の仕方、キーなしでのエンジン始動法などが、一度解明されてしまうと、対象となる台数が多く、プロにとっては盗む効率がよくなります。決して他社と比べてトヨタのキーやセキュリティだけが特に甘いというわけではなさそうです。
次に都道府県別で盗難が多い地域とそうでない地域があります。

2012年車両盗難件数が多い順に愛知県、千葉県、大阪府、埼玉県、茨城県、神奈川県、兵庫県となっています。
大都市または大都市近郊で犯罪が多く発生しているようです。特に愛知県は自動車登録台数が全国で最も多く、さらに人気のトヨタ車が圧倒的に多いこともあるのか、連続して盗難台数ワースト1を続けています。
しかし盗難台数を各都道府県別の車両登録台数(乗用車+商用車)で割った都道府県別盗難率でみると、茨城県がもっとも高くなり、およそ登録車1万台のうち8台が盗難に遭っている計算です。
では、どういう場所が車両盗難に遭いやすいのでしょうか?
1)契約駐車場(屋外) 40%
2)自宅駐車場(屋外) 25%
3)通勤先駐車場 9%
4)自宅駐車場(屋内) 5%
5)路上 3%
6)コンビニ・スーパー 2%
7)契約駐車場(屋内) 2%
となっています。(損保協会調査 2012年11月)。
不特定多数の人が自由に出入りでき、比較的長時間置きっぱなしとなる契約駐車場(屋外)での車両盗難が一番多い(40%)のはわかるのですが、自宅の駐車場で盗まれるケースが屋外・屋内合わせると30%もあるのは意外な驚きです。自宅の駐車場だと安心して防犯意識やセキュリティ対策が弱まるのでしょうか?
一方、契約駐車場(屋内)2%、コンビニ・スーパー2%が少ないのは、そうした場所の多くは防犯カメラが設置されていたり、夜でも明るい照明灯があったり、また立体駐車場だったりしてプロからは敬遠されているのではと推測できます。
これらからすると、高級車を持っているなら防犯カメラの設置と夜間照明のある駐車場、または立体駐車場を選ぶべきかもしれません。それだけでリスクはグッと減らせそうです。
車両盗難防止法としては、現在のところイモビライザの装着が他の防止策と比べ一番有効とされています(自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム調べ)。
イモビライザはイグニッションキーと車両とを特殊なIDで照合することで、一致した場合のみエンジン始動ができる電子制御装置です。しかし最近では、主に修理工場で使うイモビライザ機能をなくしてしまう通称イモビカッターが出回り、プロの車両盗難犯に対しては効果が薄くなっています。
さらに最近では純正キーを使わずドアやトランクが開放された場合や、キーロック中の振動検知でアラームやクラクションを鳴らす装置が最初から付いてくるクルマも増えてきました。
また盗難や車上狙いを特に気にする人が社外製品のアラームやサイレンを後付けで装着するケースも増えてきています。欧米などでは何十年も前からそれが当たり前でしたので、日本がようやく追いついたというか、それだけ車両盗難被害が欧米に近づいてきたということです。
しかし振動検知のアラームは、設定にもよりますが雷や雹などの自然現象、近くの道路を走るダンプやトラックの地響き、二輪車の爆音などにより発報してしまうことがあり、閑静な住宅地の中の駐車場に停めていると、そのたびに近所に多大な迷惑をかけることにもなります。
また、イモビライザーや強力な盗難防止アラームが付いていても、組織的な犯罪集団だと、真っ昼間にキャリアカーやレッカー車をクルマの前まで持ってきて、修理業者がまるで故障車を運ぶようなフリをして(ベンツを盗むときはディーラーのつなぎ服やJAFの服に似せて)、警報が鳴ってもお構いなしで、積み込んだり釣り上げて持ち去ってしまうことがあるそうで、そうなるともう手に負えません。
ドアのロックを解錠するのは、プロにかかればホンの5〜10秒程度、アラームが鳴ってもバッテリーの端子を外すのにプラス10秒もあれば十分です。
そしてレッカーが釣り上げて載せるのに30秒かかっても、1分以内で盗難に必要な作業は完了です。盗んだクルマは仲間の自動車修理工場へ運び込み、そこで分解してバラ売りしたり、輸出用に偽の書類を作成し、車体ナンバーの刻印を切り取り、新たな刻印を溶接します。
セコムが開発した盗難車の位置をGPSで知らせるセキュリティ装置「ココセコム」は、まだそれほど普及していない間は効果がありますが、それもポピュラーになると、やがては対策をとられてしまうでしょう。
つまり防犯装置と自動車泥棒とのいたちごっこで、絶対に安心と言えるセキュリティは存在しないってことです。
それに盗難に気づくのが遅れた場合、GPSで調べた結果、太平洋上で船で運ばれている途中だったという話しを聞いたことがあります。取り戻せたとしても長くかかり、しかも保険が効けばいいですが高くつきそうです。
私のランエボには、元々イモビライザは付いていますが、屋外の契約駐車場に置いていることもあり、車上荒らし対策にと振動やドアなどの開放検知で鳴る社外のアンサーバック付きセキュリティ装置を付けています。
一度だけ購入後まもなくして静かな真夜中に、突然サイレンが発報したことがあります。たぶんですが、誰かがいたずらか車上荒らしを狙ってドアノブを触ったのではないかと推測しています。
実際に警報が鳴ったからと言って、真夜中に気が立った犯人と鉢合わせする可能性があるので、すぐに外へ飛び出して見に行くことはできません。あくまで素人犯罪者向けの抑止効果ってところですが、それでもあるとないとでは安心感が違いますので、最初から付けておいて正解だと思っています。
【考察シリーズ】
自動車の車幅に関する考察1(考察シリーズ28)
ラリーアートとSTIの明暗について(考察シリーズ26)
衝突防止装置の普及を加速するための考察(考察シリーズ25)
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