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(写真出典:福島中央テレビ) |
業務上過失致死の最高刑は5年です。一方で殺人のそれは死刑、通貨偽造は無期、有印公文書偽造は10年、詐欺罪は10年で、人の命は詐欺や公文書偽造よりも軽いということです。
◇ 福島 受験生車にはねられ死亡 ドライバー逮捕 酒気帯び運転か(NHK 2025年1月22日)
福島県郡山市を大学受験のために訪れていた19歳の予備校生が、横断歩道を渡っている最中に軽自動車にはねられ、搬送先の病院で死亡が確認されました。ドライバーの呼気から基準を超えるアルコールが検出されたことから、警察はドライバーを逮捕し、事故の原因を調べています。
1999年に東名高速で起きた飲酒運転トラックが渋滞で停止していた乗用車にノーブレーキで追突し幼い子供が二人焼死した事故や、2000年に起きた飲酒した上無免許、無保険で検問を突破し一般道を100km/hで走行し大学生二人をひき殺した小池大橋飲酒運転事故で2002年から飲酒運転の罰則が少し強化されました。
しかし2006年には福岡の海の中道大橋で飲酒運転の乗用車に追突された乗用車が海中に転落し幼児3人が死亡するという悲惨な事故が起き、2007年に再び飲酒運転の罰則が強化されました。
2007年の改訂では酒気帯び運転の罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、そして正常な運転ができない恐れがある状態で運転する酒酔い運転の罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金に引き上げられました。
また、飲酒運転同乗罪や酒類提供罪、車両等提供罪の運転者以外の関係者にも罰則が加わりました。
さらに2009年の改訂では、違反点数の引き上げがおこなわれ、酒気帯び運転で呼気のアルコール濃度により13点または25点、飲酒運転で35点の違反点数になりました。免許取り消しは15点以上です。
懲役5年以下の業務上過失致死では悪質な飲酒運転死亡事故の刑罰が軽すぎると、2001年に制定された危険運転致死傷罪もありますが、判例が少なく100%勝てる見込みがないとそれで起訴をしない検察の弱腰もあり、飲酒運転や無免許運転などでも多くの場合それは適用されることがなく、実質的に適用困難になっています。
しかし罰則強化は逆に事故後に、被害者を救助せず、逃げようとする悪質ドライバーを増やすことになります。
ただ交通事故の場合は、多くの防犯カメラや事故の破片等で逃げ切ることはほぼ難しく、逮捕までに時間が経っていると飲酒運転の証明が難しく、また酔いを覚ましてから自首をするという小賢しいことを考えます。
事故後ただちに救急車を呼び手当をすれば助かったはずの命も、出血多量で救命措置が間に合わなかったり、放置されたままで後続車に二重にひかれたりすることもあるでしょう。
こうした罰則強化や広報活動などで、飲酒運転事故の死亡者数は年々減ってきています。東名で事故が起きた1999年には飲酒運転による死亡者数は1,276名にのぼりましたが、8年後の2007年には434名、さらに8年後の2015年は201名、2023年は112名(警察庁調べ)と、24年間で1/10以下にまで減りました。
しかし今でも3日にひとりは飲酒運転事故で人が亡くなっています。
飲酒運転事故でも被害者に保険金は支払われるか?と疑問に思って調べてみると、
自賠責(強制保険)と自動車保険(任意保険)は、加害者が飲酒でも危険運転でも、被害者に対しては原則保険金が支払われます。
原則というのは、任意保険の場合、運転者の年齢など限定をしている場合、該当しない運転者が事故を起こした場合は支払われません。例えば親が保険料の安い35歳以上の運転者限定で任意保険を契約していた場合、30歳の子供が運転して事故を起こすと支払われないことになります。
また、被害者には支払われても、加害者側の人身傷害や搭乗者傷害、車両保険などは飲酒運転などの重大事故の場合保険金は支払われません。
次に加害者のクルマが無保険だったり、年齢条件外だったりして、被害者に支払う医療費や巨額の賠償金が保険で支払えない場合、加害者が自己破産すればその債権は他の借金同様に免責されるのか?というと、飲酒運転や無免許運転、悪意で起こした事故などは免責されないようです。
そうすると飲酒運転死亡事故を起こすと、多くの場合仕事を失い、何年かの懲役を終えても今度は巨額の賠償金を一生支払い続ける義務があるということになります。
事故の加害者が成人であっても、その家族は「無関係で関係ありません」とキッパリ言える人は多くなさそうで、加害者と共同して被害者賠償をすることになりそうです。多くの人の人生を狂わすことになります。
最後に、飲酒事故含め交通事故に遭った時に頼りになる乗用車の自動車保険(任意保険)加入率を調べてみました。
つまり自賠責と違い「任意」保険ですからクルマは必ず自動車保険に加入しているわけではありません。自賠責(強制保険)は人身事故だけに対応していますが、初期の医療費はともかく、ぶつけられたクルマの修理費や慰謝料、長期の療養費にはまったく不足しています。
したがって自動車保険の無保険車にぶつけられるという事故に遭うと悲惨です。
2023年3月末時点(データ出典:損害保険料率算出機構)
保有台数 | 自動車保険加入 | 加入率 | |
普通乗用車 | 20,515千台 | 16,955千台 | 82.6% |
小型乗用車 | 18,165千台 | 14,263千台 | 78.5% |
軽四輪乗用車 | 23,071千台 | 17,966千台 | 77.9% |
乗用車計 | 61,751千台 | 49,184千台 | 79.6% |
よい子の読者さんは自動車保険(任意保険)には当然加入していると思いますが、世の中には2割、つまり5台のうち1台は無保険車(自動車保険未加入車)が走っているわけです。怖いですね〜
自殺志願で無差別殺人を犯す「無敵の人」という言葉がありますが、任意保険にも入らず、飲酒運転をしても「俺様は運転が巧いので捕まらなければ平気」とうそぶいている輩(たぶん)や、「事故なんか起きない、起きたらその時はその時」という「無敵のクルマ(ドライバー)」が、確実に我々の周囲にいっぱいいることを忘れないようにしないといけません。
【関連リンク】
ランエボと自動車保険(特に車両保険)についての考察
ドアロックする?しない?についての考察(考察シリーズ20)
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